「老後は家を借りられなくなる」という世間の呪い
来月末の4月30日に定年退職を迎え、5月1日からは時給1,300円、手取り約11万円の再雇用生活に突入します。
この年齢になると、同窓会や職場の飲み会で必ず話題に上るのが「住まい」の話です。 「やっぱり老後は持ち家じゃないと安心できないよな」 「年金暮らしになったら、アパートなんて貸してもらえなくなるぞ」
そんな「世間の常識(呪い)」を耳にするたび、持ち家を持たない同世代は肩身の狭い思いをしています。 現在、私は賃貸物件で暮らしています。59歳で賃貸。世間一般の基準から見れば「老後の準備ができていない、かわいそうなおじさん」に見えるかもしれません。
しかし、FP(ファイナンシャルプランナー)2級の資格を取り、お金と法律のリアルな数字を計算し尽くした私の結論は全く逆です。
手取り11万円のサバイバル生活において、「持ち家」という重い十字架を背負うことほど、恐ろしいギャンブルはありません。 今回は、59歳の私が論理的に「一生賃貸」を選び、それを最強の防衛策だと確信している理由をお話しします。

理由①:手取り11万の家計に「修繕費のバグ」は即死を意味する
「持ち家なら、ローンさえ払い終われば住居費はタダになる」 これこそが、最大の幻想です。
家は生き物です。築20年も過ぎれば、屋根の塗装、外壁のひび割れ、水回りの劣化が容赦なく襲いかかってきます。 ある日突然、給湯器が壊れたとしましょう。持ち家なら、修理や交換で20万〜30万円がキャッシュで一気に飛んでいきます。手取り11万円の再雇用生活で、突然30万円の出費が出たらどうなりますか? 一発で家計がショートし、即死(借金)です。
しかし、賃貸ならどうでしょう。 給湯器が壊れても、雨漏りがしても、管理会社に電話を1本入れるだけです。数十万円の修理代は、すべてオーナー(大家さん)が負担してくれます。
固定資産税もかからず、突発的な修繕費の恐怖に怯えることもない。 「毎月の家賃さえ払えば、それ以上の出費は1円も発生しない」という経費の透明性こそが、収入が激減する私たちにとって最強の安心感なのです。

理由②:「生活の損切り(ダウンサイズ)」ができる身軽さ
FPの視点で見た時、賃貸の最大のメリットは「環境の変化に合わせて、いつでも住居費をコントロールできること」です。
5月からの再雇用で、もし想像以上に体力がキツくなり、時給1,300円の仕事すら続けられなくなったら。あるいは、ブログや副業の収益が育つまでに時間がかかり、今の家賃を払うのが苦しくなったら。
持ち家の場合、「家を売る」という膨大な時間と労力のかかる手続きを経なければ、生活費を下げることはできません。売れなければ、ただ固定資産税と維持費を吸い取られる巨大な負債になります。
しかし賃貸なら、「家賃が2万円安い、少し狭いアパートに引っ越す」という生活の損切り(ダウンサイズ)が1ヶ月で完了します。 収入が減れば、身の丈にあった箱(家)に変えればいい。この「逃げ道」が常に用意されている身軽さは、先の読めない老後において何物にも代えがたい武器になります。

理由③:「高齢者は借りられない」は、コミュニケーションで突破できる
「でも、高齢になると大家さんに嫌がられて、賃貸契約の更新や引越しができなくなるのでは?」 これは確かに、賃貸派が直面する大きな壁です。
しかし、長年、店舗管理やクレーム対応の現場を仕切ってきた私から言わせれば、大家さんも管理会社も「人間」です。 彼らが一番恐れているのは「年齢」そのものではなく、「家賃を滞納するのではないか」「孤独死してトラブルになるのではないか」「話が通じないクレーマー老人なのではないか」というリスクです。
だからこそ、普段から管理会社と良好なコミュニケーションを取っておくことが最大の防衛策になります。 例えば、物件の不具合を伝える時も、横柄な態度をとるのではなく、正確に、そして感謝の言葉を添えて連絡する。
「この住人は、FPの知識もあってしっかりしているし、話も通じる真っ当な人間だ」 そう思わせるだけの社会的信用と愛嬌(コミュニケーション能力)を保ち続けていれば、むやみに追い出されることはありません。ここでも、日々の「大人の学び直し」や「ブログでの発信」で脳を若々しく保っていることが生きてくるのです。

まとめ:家を所有しないという「最強のリスクヘッジ」
「家」は、人生で最大の買い物であると同時に、最大の「縛り」でもあります。
手取り11万円という過酷な現実を前にして、私が一番守らなければならないのは、立派なマイホームという見栄ではありません。 毎日の温かい食事であり、ブログを書くための健康な体であり、何事にも縛られない精神的な自由です。
だから私は、4月30日の定年を迎えても、賃貸マンションで身軽に、しぶとく生き抜く道を選びます。 「一生賃貸で大丈夫だろうか?」と夜眠れなくなっている同世代のあなた。 FPの知識を持ったオヤジが断言します。戦略と知識さえあれば、賃貸は「最強のリスクヘッジ」になります。安心して、今夜はぐっすり眠ってください。


